冷戦を、交渉の不可能性の相互認識に基づく武力以外の手段の応酬という側面から捉えると、当事者間のコミュニケーションの有無が情勢の展開の大きな鍵となる。核戦力は紛争解決の効果的手段ではなく、抑止ないしは損害限定をその中心課題とする。従って、片務的・双務的に協定あるいは暗黙の了解のもとで行う自己規制的外交ないしは軍事政策が必要とされるが、これが即ち軍備コントロールである。冷戦の流れの中における軍備コントロールの概念とその起源について論述した。 執筆担当:第21章 軍備コントロールの起源(P401~415) 共著者: 小此木政夫 赤木完爾田中俊郎 斉藤祐介 池井優 他