「個人所得税と法人所得税の統合―カーター報告における完全統合方式の検討―」
法人擬制説の立場に立脚すれば、法人所得はすべて個人の所得に帰属するから、理論的には法人所得税を廃止するのが望ましい。しかし、現実経済では基幹税として法人所得税が存在するので、配当及び留保を問わず、すべての所得を個人に帰属させる必要がある。カーター報告は実行可能性を考慮した上で個人所得税と法人所得税の完全統合を勧告し、すべての法人源泉所得が個人レベルにおいて、能力説に基づいた累進税率で課税され公平が達成されると考えた。
『租税論研究-課税の公平と税制改革-』五絃舎
31~61