平成24年度千葉商科大学学術研究助成「古代地中海世界における石碑の再利用に関する通時的研究」にもとづく成果の一部である。古代ギリシアにおける石材と石碑の再利用のありかたについて概観した。一般に石材や奉納像・顕彰像の再利用がおこなわれるときには、再利用に対する強い意図が見てとれるのに対して、石碑を石碑として再利用するという点に関しては、それほどの意図が見てとれものがないことを確認した。石碑の破壊についての警告、石碑の破壊の命令が存在する一方で、多くの石碑がその役割を終えてからも放置されていることは、石碑というものはいったん設置された後は手を加えないと言うことがその本質である、ということを示しているように思われる。