Aquatic Environments of Pond Junsai, Ichikawa, Chiba Prefecture —Towards Restoration and Protection of the Pond
千葉県市川市北西部に位置する都市公園池,「じゅん菜池」において池の再生と保全を 目的とした水環境基礎調査をおこなった。本池流域が得る年間浸透可能水量は 1968 年以 降微増傾向(信頼度水準 90%で統計的に有意)にある一方,実浸透量は浸透可能面積の 減少により,減少傾向(信頼度水準 99%で統計的に有意)にある。気候変動の浸透量へ の影響は,降水量よりも顕著にあらわれる。池の主な水供給源である浅井戸水は高い窒素 濃度,深井戸水は高いリン濃度を有する。一方,降水および強雨時に観察される湧水の栄 養塩濃度は低い。池の地下水への依存度を減少させることにより,栄養塩濃度低下が見込 まれる。池水の滞留時間は調査期間中に発生した井戸故障により,実験ゾーン池では 16.1 日から 50.3 日,公共ゾーン池では 30.0 日から 78.1 日と増加した。滞留時間の増加は池内 における植物による窒素吸収および脱窒の影響を増大させ,窒素濃度の低下と植生繁茂を ひきおこした。水鳥の糞による池水への栄養塩負荷の寄与率は,窒素で 16~36%,リン は 7~67%と推定され,水鳥の糞は本池における主要な栄養塩負荷源の一つであることが 明らかとなった。
The Journal of Chiba University of Commerce