スルーシングおいては,WH 句以外のすべて節要素を完全スルーシングが義務的であって部分的スルーシングは許されないという観察が Merchant(2001)においてなされている。本稿においては,この観察に対する例外と見える現象を検討し,それらの例は単に疑似部分的スルーシングとでも呼ぶべきものに過ぎず,実際には完全スルーシングを伴っていると論じた。その際,Haddican et al.で扱われた slifted interrogative の分析を採用し,Fox&Lasnik (2003)の平行性要件を仮定して説明を行った。