Caponigro & Sprouse (2007)の研究における興味深い主張は,修辞疑問文は,統語論上も意味論上も通常の疑問文と異なるところはなく,語用論上異なるだけであるというものである。具体的には,通常の疑問文とは異なり,修辞疑問文は,話し手も聞き手もその答えを知っている,というものである。本研究では,日本語の「ものか!」で終わるWH疑問文を扱い,それらが通常の疑問文とは異なり,常に否定的主張を行う,常に下がり調子で発音される,否定極性項目を認可する,「いったい」を認可しない,という特性を持っているという事実観察を行った。このことにより,Caponigro & Sprouseの研究ではとらえられない修辞疑問文が存在することを示した。また,その際に,Rizzi (1997)で提案されている分離CP仮説を採用した。