現代の日本には全国に多くの輸送園芸産地が存在し、農産物の市場には年間を通して安定的な青果物の供給が行われている。本稿はこうした輸送園芸産地について、第2次世界大戦前からの成立について注目し産地形成が行われた北海道のタマネギについてその産地化の過程について明らかにしたものである。タマネギは昭和戦後期の高度経済成長に伴う国民所得の向上によって食生活の洋風化が需要増加をもたらしたもので、日本古来の野菜ではない。海外からの外来野菜として位置づけられる。北海道は日本で最もタマネギの生産高が多い地域であり、北見、富良野、岩見沢、札幌が主な産地を形成している。本稿はこの中で最初に産地化が行われた札幌、岩見沢に焦点をあてて、その産地化の実態を種子の導入、栽培地の拡大の過程について明らかにしたものである。