戦前期帝国銀行融資方針の考察(下)
本論文は、戦時下の帝国銀行が、プランとして持っていた長期融資業務拡充を取り止めてそこに投入されるべき資金を節約し、資金繰りの好転を図る有力な手段として、他の大銀行とともに、当面のあいだ各行親密取引先への長期資金供給上の負担を、政府系金融機関、特に日本興業銀行に分散し、肩代わりしてもらうとともに、自らは短期融資取引に専念する姿勢をとるに至った経緯を明らかにしたものである。最近、注目を浴びている軍需融資指定金融機関制度についても、民間銀行から出た貸金分散の要望を背景に定着したものと説明されている。
千葉商大論叢
第35巻第3号