戦時期帝国銀行融資方針の考察(上)
本論文は、戦時下の1943年に三井銀行と第一銀行の合併によって誕生した帝国銀行(十五銀行も翌年に合流)の融資方針を考察し、それまでの財閥の機関銀行としての性格を払拭して、主要取引先との間に融資をベースとする新しい取引関係を構築しえたか否かを検証したものである。本論文は、特に、同行が、こうした目標に向かって、資金的余力を基に長期融資業務(期間1年以上の融資)を拡充するプランを持っていたものの、予想を越えるペースで悪化する資金繰りに制約されて、その拡充断念に追い込まれていった点に注目している。
千葉商大論叢
第35巻第2号