日本電機工業における中小企業問題生成に関する一考察
本論文は、わが国の電機工業における中小企業問題の生成史を考察したものである。わが国の電機工業はアメリカに比べて発展が大きく遅れたにも拘ず、問題の方は、昭和不況下の1930年前後、つまりアメリカと同じ頃に顕在化している。これは問題の顕在化に政府、行政側の姿勢が深く係わっているためである。本稿は、特に、工業組合法と重要産業統制法による業界同業者の組織化、主要電機メーカー大合同の推進を柱とした業界改善強化政策に注目し、これらの政策との関連で、問題の顕在化が加速されたことを論じている。
千葉商大論叢
第22巻第4号