第一次大戦前後におけるアメリカ大電機会社の中小会社支配
本論文は、連邦取引委員会による独占問題調査報告書である『アメリカ輸出貿易における協調』(1916年)、並びに『電気機器の販売と競争条件』(1928年)に依りながら、アメリカの、しかも電機工業分野に限っての、中小企業問題生成史を考察したものである。同国におけるスモール・ビジネス問題の顕在化は1930年代に入ってからのことであり、鉄道・石油・鉄鋼などでトラストが、また金融でも「マネートラスト」が形成された10年代の初めとは相当時期的に乖離している。論文はこの乖離に注目し、考察の手掛かりにしている。
千葉商大論叢
第20巻第3号