『Banking,the State and Industrial Promotion in Developing Japan,1900-73』
本書は、わが国経済の動向と深く係わってきた三井など大銀行を、内部資料(経営資料と旧役員の回顧証言)をもとに実証分析し、翻訳者を介さずに英国の出版社より発表したケース・スタディである。戦前史とともに、戦後史をも主な対象とし、後に銀行がバブル破綻で金融危機に直面する歴史的土壌にも言及している。本書は、1950年代中葉以降に企業グループを率いるに至った都市銀行が、その後も長く法令のみならず資金繰り上の制約から、内部結束力強化に有効な中長期融資分野の本格的拡充に入れなかった点に注目している。
Palgrave(Macmillan)