『機械工業と下請制』

本書では、自動車、電機など組立型機械工業のメーカーにおいて、部品は本来、内部生産（内製）されるべきか、外部調達（外製）に委ねられるべきかという点に最大の関心が寄せられている。本書は、自動車の場合、エンジンなど一部を除き、外製が機械工業発展の理に叶った生産のあり方と主張し、それを分業生産方式と呼ぶ。併せて、戦前から高度成長初期までの日本機械メーカーの姿勢が、通俗的理解とは逆に内製偏重だったこと、通産省がこの内製偏重を機械工業の構造的欠陥としてとらえ、その是正を図ったことなどに注目している。

泉文堂