本書は、金融資本の学説に言う銀行の新しい役割-産業に対する積極的干渉、産業との結合-が、いつ、どのように形成されたかを検証するケース・スタディである。分析対象は最大の民間銀行だった戦前期の三井銀行であるが、その営業の実際や営業方針、同行が三井家関係諸会社や企業一般に対して演じた役割、機能を検討し、さらに進んで同行と主要産業との関係が、融資をベースとする企業グループの形成史において、どの段階にまで達していたかを明らかにしようと試みている。主な資料はさくら銀行(現・三井住友銀行)調査部所蔵資料である。博士論文である。