本稿では、多変量判別分析で米国企業倒産の予測モデルを開発したE. I. Altman(アルトマン)教授の実証分析とわが国における実証分析の結果を比較、検討し、あわせて倒産予測の実用性について言及した。そのために、まず従来の財務比率分析と多変量判別分析の意味を考察し、次いでアルトマンの判別モデルの特徴を明らかにした。さらに、わが国の多変量判別モデルによる分析結果をアルトマン・判別モデルと比較した。最後に、多変量判別モデルが、企業評価分析の手法として、どの程度、どのような実用性があるのか、検討を加えた。