分割支給した分掌変更等退職給与の損金算入の可否等が争われた事件において、東京地裁平成27年2月26日判決(税資265号順号12613)は、分掌変更等退職給与について、法人税法上の退職給与に該当するという解釈を示した上で、実際に分割支給した日の属する事業年度の損金の額に算入した原告(納税者)の会計処理を支持した。
本稿は、上記判決やそこで問題となった法人税基本基本通達9-2-32注書又は9-2-28ただし書に関して課税庁の現役の職員が個人名で執筆を担当した文献を参照し、本判決を踏まえての課税庁における分掌変更当等退職給与の取扱いを推察し、その内容の妥当性に疑問を提起するとともに、分掌変更等役員退職給与の課税関係に関する課税庁の”執着”を明るみにした上で、上記文献がいずれも“隠れた行政指導”として機能することに批判の目を向けるものである。