最判昭和49年4月25日を機縁として租税法以外の行政法分野における侵害処分にまで広がった理由付記の判例法理は、行政手続法の規定を踏まえて深化を見せている。ここでいう深化は理由付記の裁量統制手段としての部面において際立つ。裁量処分である青色申告承認取消処分に係る理由付記についても、同じように判例法理を深化させるべきである。
本稿は、承認取消処分に係る理由付記の記載の程度について、取消事由を定める該当号数の摘示を含む取消要件充足性の判断に係る記載に加えて、裁量判断に関する記載、とりわけ関連する事務運営指針の適用関係に係る記載までも要するという私見を示すものである。