「Princeps legibus solutus:ローマ法源とその解釈の歴史的展開―特にフランス絶対主義との関連を中心に―」(一)
紀元後3世紀前半、古典期ローマの法学者、ウルピアーヌスが残した法文 “ Princeps〔ab〕legibus solutus est (元首は法律から自由である)”は、Dgesta(学説彙纂)を通じて伝えられ、Absolutismus(絶対主義)の語源となった。本稿は、この著名な一節を軸に、近代国民国家形成の基礎ともなる立法権力としての主権概念の成立について、西洋における各時代の変遷を政治史としてではなく法学史の観点から史料より直接跡付けたものである。
早稲田法学(第78巻1号):早稲田大学