「ローマ法における「無効」の再検討―Culpa in contrahedoをめぐって―」
法制史学会近畿部会第390回例会
イェーリングによる「契約締結上の過失」理論を手がかりに、ローマ法における「無効」概念の再検討から、それが現行法上の概念と相違することを指摘した。それはむしろ訴訟法的概念として出発しており、本報告においてはさらに、この本来的な概念が、中世以降どのような変遷を経て現在のものへと変化したのか、註釈学派以降の史料を利用しながら跡づけつつ、フランス法における「契約締結上の過失」が、むしろ不法行為法の枠組みのなかで処理された点に関しても理由とともに指摘した。