西洋背景下の遠藤隆吉の中国哲学史研究――西洋経験と近代日中交流における思想連鎖の一側面――
遠藤隆吉の『老子をして今日に在あらしめば』を中心に、「西学」の近代的視点と理論を駆使して、老子思想の中に潜んでいる「近代的視点・近代的要素」を再発見し、それを近代的社会生活の各方面に運用させようとすることは、遠藤隆吉の老子研究その最も顕著な特徴であると明らかにし、老子思想の「今日」的運用に向けて有益な試みを行い、今日まで続く近代東アジア諸国の「共同知」の摸索と構築に向けて遠藤隆吉の貢献、特徴と時代などによる限界を指摘した。
千葉商大紀要