1970年代の段階的変容を経て、新自由主義とグローバリズムが席巻した戦後世界は「サブプライム金融危機」を契機として新たな歴史段階に突入した様相を呈している。この「サブプライム金融危機」は「サブプライム問題」を「サブプライムローン証券化問題」へと転成させた金融の証券化・セキュリタイゼーションの発達があったからに他ならない。拙稿はこの「金融の証券化」の矛盾の最初の爆発形態であるアメリカのS&L危機を取り上げ、「金融の証券化」が何故、如何にして金融システムを不安定化させるのか、その論理とメカニズムを考察している。