近年、金融の自由化・規制緩和が行われた多くの国でバブルの発生と金融危機を経験してきた。何故、金融市場改革のなかで金融システムは不安定化するのか?拙稿は1970年代前半のイギリスのセカンダリーバンク危機を素材として、バブルの発生は決して偶発的な現象ではなくて、自由化により金融市場が変貌していくなかで、市場規律に強制されながら、個別銀行資本の「健全な」銀行行動がかえって総体としての金融システムを不安定化させていく、市場経済固有の転倒性が不可避的に貫徹した結果生みだされたものに他ならないことを明らかにしている。